
結論から言うと: HappyHorse 1.0はもう「正体不明」ではありません。2026年4月上旬、開発元を明かさないままArtificial AnalysisのVideo Arenaに登場し、音声なしのテキストから動画・画像から動画の両ランキングで首位を獲得。その数日後にAlibabaのプロジェクトであることが確認されました。Alibabaは2026年4月28日に限定ベータを開始し、2026年6月23日にはHappyHorse 1.1を、HappyHorseのWebサイトとAlibaba Cloud Model StudioのAPIで公開しています。Veo 3.1と比べると、HappyHorseはより長い動画(Veo 3.1の8秒に対して最大15秒)と動画編集機能を備えています。一方のVeo 3.1は、より高い解像度の上限(HappyHorseの1080pに対して最大4K)、最初と最後のフレームを指定する機能、そしてGoogleのアプリやAPIを通じた幅広い提供体制が強みです。
「正体不明の挑戦者」の正体が明かされるまで
タイトルにある騒動は、わずか数週間で展開しました。
- 2026年4月7日ごろ:所有者の記載がないHappyHorse-1.0というモデルが、Artificial AnalysisのVideo Arenaに現れました。このアリーナはブラインド投票でモデルを順位付けする仕組みで、投票者は同じプロンプトから作られた2本の動画を見比べ、良いほうを選びます。CNBCの報道によれば、HappyHorseは音声なしのテキストから動画と画像から動画で、最も高いEloレーティングに達しました。
- 2026年4月10日:CNBCが開発元はAlibabaだと報じました。チームはHappyHorseを、Alibaba Token Hub(ATH)事業部のプロジェクトで、まだ開発中だと説明しています。
- 2026年4月28日:Alibabaが限定ベータを発表。HappyHorseのWebサイト、Alibaba Cloud Model StudioのAPI、Qwenアプリから利用できるようになりました。
- 2026年6月23日:AlibabaがHappyHorse 1.1を、HappyHorseのWebサイトとModel Studio APIで公開しました。
Alibabaの発表で触れられているのは、Webサイト・API・アプリというホスト型の提供方法だけです。HappyHorseはホスト型サービスとして使う前提で考えておくのがよいでしょう。
ランキングの結果については、注意点が2つあります。まず、アリーナの順位はモデルが追加されたり票が積み重なったりするたびに変動します。4月の首位はその時点のスナップショットであり、恒久的な順位ではありません。次に、音声なし部門は映像だけを評価しています。音声ありの部門では、同じモデルでも順位が変わる可能性があります。
HappyHorse 1.0 vs Veo 3.1:仕様の比較
下の表のHappyHorse 1.0は、Alibaba Cloudが2026年4月28日に発表した内容に基づいています(1.1については後述)。Veo 3.1の数値はGoogleのGemini APIドキュメントによるものです。確認日は2026年9月28日です。
| HappyHorse 1.0(Alibaba) | Veo 3.1(Google DeepMind) | |
|---|---|---|
| 公開 | 限定ベータ、2026年4月28日 | 2025年10月15日、2026年1月に更新 |
| 動画の長さ | 最大15秒 | 4秒・6秒・8秒 |
| 解像度 | 最大1080p | 720p、1080p、4K |
| アスペクト比 | 発表では明記なし | 16:9、9:16 |
| 音声 | 口の動きに合わせたセリフを含む同期音声 | 常時オン:効果音、環境音、セリフ |
| 生成モード | テキスト・画像・被写体から動画 | テキスト・画像から動画、最初と最後のフレーム指定、参照画像は最大3枚 |
| 編集 | 動画から動画、被写体+動画から動画 | 延長(720pで7秒ずつ追加) |
| マルチショット | マルチショットの連続生成 | 1本の動画内でプロンプトによるカット割り |
| 利用方法 | HappyHorseのWebサイト、Alibaba Cloud Model Studio API、Qwenアプリ | Geminiアプリ、Flow、Gemini API、Vertex AI |
GoogleはVeo 3.1の1080pと4K出力をアップスケールによるものと説明しています。4Kは「生成されるディテールが増える」という約束ではなく、納品用のフォーマットとして捉えてください。
HappyHorse 1.1で変わったこと
HappyHorse 1.1(2026年6月23日)は、基本的な構成を1.0から引き継いでいます。AlibabaのModel Studioドキュメントには、テキストから動画、最初のフレームを使う画像から動画、参照から動画の各モデルが掲載されており、3〜15秒の動画を480p・720p・1080p、24fpsで生成します。Alibabaによると、1.1では動き、被写体の一貫性、プロンプトへの忠実さ、映像の品質、音声が1.0より改善されています。以下の比較はそのまま当てはまります。長い動画ならHappyHorse、解像度の上限とフレーム制御ならVeo 3.1です。
HappyHorse 1.0が優れている点
- 1本あたりの動画が長い。 15秒あれば、ワンカットの見せ場だけでなく、前振りから見せ場までを含む小さな場面を収められます。
- 編集機能を内蔵。 Alibabaは動画から動画への編集を挙げており、ゼロから作り直すのではなく、既存の動画を修正できます。
- 被写体を軸にした生成とマルチショットの連続生成。 Alibabaはこれらを、キャラクターの一貫性が求められる広告、EC、ショート動画向けの機能として打ち出しています。
- 公開時のブラインド投票での好成績。 CNBCの4月10日の報道によれば、映像品質で高い評価を得ました。
Veo 3.1が優れている点
- 解像度。 Veo 3.1は最大4Kで出力できます(Veo 3.1とVeo 3.1 Fastの場合)。HappyHorseの上限は1080pです。
- ショットを細かく制御できる。 開始画像、任意の終了画像、最大3枚の参照画像を使えば、ショットの始まり方と終わり方、そして誰が登場するかを自分で決められます。
- 提供範囲と実績。 Veo 3.1は2025年10月から、Googleの一般向け製品と開発者向け製品で提供されており、制限事項や安全に関するルールも文書化されています。HappyHorseはより新しく、1.0は2026年4月の限定ベータから始まり、1.1は2026年6月からAlibabaのWebサイトとModel Studio APIで利用できる状態です。
どちらを使うべきか
HappyHorseを選ぶのは、 10〜15秒の途切れないワンテイクが必要な企画のとき、または動画をその場で編集したいときです。
Veo 3.1を選ぶのは、 1080pや4Kでの納品が必要なとき、開始・終了フレームや参照画像でショットを固定したいとき、あるいは現時点で幅広く利用できるモデルが必要なときです。
どちらに傾いているにせよ、自分のプロンプトで試してみてください。ランキングからわかるのは、多くの投票者のプロンプト全体で平均的にどちらが勝つかです。あなたの商品、あなたのキャラクター、あなたのカメラワークをうまく扱えるのはどちらか、までは教えてくれません。
このサイトでVeo 3.1を試す
Veo VideoではVeo 3.1、Veo 3.1 Fast、Veo 3.1 Liteを利用できます。生成される動画はすべて8秒・音声付きで、16:9または9:16、720p・1080p・4Kから選べます。入力はテキスト、または画像(任意で終了フレームも指定可)です。Veo 3.1 Fastでは最大3枚の参照画像も使えます。なお、このサイトでは延長や短い尺での生成には対応しておらず、HappyHorseも提供していません。
新規アカウントには30クレジットが付与され、720pのVeo 3.1 Lite動画を1本作れます。仕上げのショットにはVeo 3.1に切り替えましょう。もっと長いワンテイクが必要な場面なら、MiniMax H3 Maxも使えるAI動画生成ツールがあります。
ほかの比較記事:Veo 3.1 vs Kling AI、Veo 3.1 vs Sora 2
